患者さんによく質問されることを技工士の立場よりお答えいたします。ここに載せている以外のことでも、院内に常駐しておりますので、お気軽にお尋ねください。
注:質問の文中にある『ハイブリット』は、現在当院では施術していません。ご了承ください。
Q.フェイスボウトランスファーって何ですか?
A. しろくま歯科医院では、全ての補綴物製作時にフェイスボウトランスファーを行います。これは、補綴物を作るときに使う「咬合器」に、患者さんの顎関節の位置と上顎の位置を再現するために行います。顎の関節は、他の関節と違ってとても複雑な動きをします。なるべく患者さんのお口の状態に合わせた状態で補綴物を製作し、顎への負担や、セット時の調整が軽減されるよう行っています。 >> 写真1
※しろくま歯科医院では『プロアーチ』と呼ばれる咬合器を使っています。 患者さん一人一人の顎の動きに合わせた位置に模型を装着して、補綴物を制作するために用います。咬合器には様々な種類があるのですが、この咬合器は日本人の顎の大きさに一番近いものとされています。
Q.いろんな材料があるけれど、どれが一番硬いの?
A. 金属は良く伸びる材料(展性・延性と呼ばれるもの)なので、割れるということはほとんどありません。したがって、割れるという観点からみると、金属が一番強い材料になります。その次に、白いかぶせ物に使われる材料の強度についてですが、ガラスの含有量によって、その強度がほぼ決まってきます。図に表すと下記のようになります。
一番注目してほしいのは、天然歯より硬いかどうか。
天然歯より硬いということは、かみ合う歯が【天然歯対メタルボンド】だと、天然歯のほうが軟らかいため、歯軋りが強い患者さんなどは、天然歯のほうが削れてきてしまう場合があります。そのため『どれが一番良いの?』という問いに関しては、患者さんによって答えが異なってきます。「一番値段が高いもの、一番材料が高級なもの」が、一番良いわけではなく、患者さんのお口の状況に合った材料の選択が必要となってきます。
Q.前装冠とハイブリッドの違いは?
A. 前装冠とハイブリッドはどちらもプラスチック質の材料でできていますが、両者の違いは何か、よく聞かれることがあります。それは、ガラス質材料の有無や、再現できる色の多様さです。保険範囲内の前装冠にはほとんど含まれず、また単色での再現しかできません。それに比べてハイブリッドにはガラス質材料が多く入っており、なおかつ色のバリエーションも豊富なため、前装冠よりもより天然歯に近い色を再現することができます。
Q.しろくま歯科医院では前装冠やハイブリッドなど全て金属の裏打ちがあるとのこと。なぜ金属とくっつくのですか?
A.
【前装冠やハイブリッドなどのプラスチック材料と、金属について】この二つの材料は、くっついている境界線を電子顕微鏡などでみると、実際にはくっついていません。ではどうやってくっつけているかというと、金属の表面に小さな凹凸をつけ、そこにプラスチックを食い込ませることによってくっつけています。これを機械的結合といい、『かぶせ物の表面が剥がれた』というのはその境界線に唾液などが浸透し、くっつく力が弱まったためにおこります。
【メタルボンドに使われる陶材と、金属について】この二つの材料は、電子顕微鏡でみてもしっかりとお互いに結び付いていています。これを化学的結合といい、先ほど述べた機械的結合よりも、より強固な結びつきをしています。そのため、唾液が境界線から浸透したりする恐れがないので、長期的に安定した結合となっています。
Q.歯肉が腫れているときでも歯型はとれるの?
A. 前装冠とハイブリッドはどちらもプラスチック質の材料でできていますが、両者の違いは何か、よく聞かれることがあります。それは、ガラス質材料の有無や、再現できる色の多様さ歯茎が腫れていると、歯の土台に歯肉が覆いかぶさり、歯型を正確に採ることができません。補綴物を作るためには模型が命です!長持ちする補綴物を作るためにも、歯茎の腫れている患者さんには、衛生士さんにブラッシング指導していただき、歯茎が引き締まってから、補綴物の製作にとりかかっていきます。