歯科治療の一番の欠点は、治療期間がとても長いということです。しかし、私たち歯科医院は毎日患者さんのお口の中をチェックすることが出来ません。それでも、虫歯の歯も使って食事をしたり、会話したりしなければなりません。そんな状況でも、お口の中の環境をよくするのは、とにかく「毎日」「丁寧に」歯磨きをすることです。まずは、磨き方なんて考えなくても良いから、とにかく毎日、歯を磨いてみてください。学校や職場へ歯ブラシを持っていってください。その上で、正しいブラッシングを知れば、お口の中の健康はもちろん、全身の健康へもつながるのです。より詳しく知りたい方は、しろくま先生のブログのカテゴリー「予防」をご覧下さい。
むし歯になりやすい人となりにくい人の違いとは?
以下のような方は、特に虫歯になりやすいので、注意が必要です。
1. 歯並び・噛み合わせが悪い人…歯並びがでこぼこしているので、歯間にプラーク(歯垢)が残りやすくなります。
2. 歯を磨かない人…プラークが残り、口の中の細菌が増えやすくなります。
3. 歯の強度が不十分な人…歯の表面が細菌の出す酸で溶けやすくなります。
4. 唾液量が少ない人、唾液中に細菌に対抗できる物質(抗菌物質)が少ない人…歯の浄化作用や、歯を保護する作用が働きません
5. 砂糖を含む物をたくさん食べる人…細菌が、歯の表面に付着した砂糖の成分を分解して酸をつくるため、虫歯の進行が早いです。
6. 間食が多い人…いつも口の中が汚れていて細菌が増えやすくなります。
しかし、しっかり歯を磨いているにもかかわらず、歯周病の進行が進んでいたり、虫歯の状況が悪くなりやすいという患者さんも、残念ながらいます。なぜ、ちゃんと磨いているにもかかわらず、口腔内の状況が良くならないのでしょう?大きな原因は2つ考えられました。
- 歯磨きをする時間が悪い
- 歯の磨き方そのものが悪い
患者さんの中には、ほとんど歯を磨かないのに、虫歯が全くない患者さんもいるのです。もちろん歯が欧米人並みに丈夫なのかもしれないのですが、上手く生活の中に上記の2つの条件をクリアしている要素があると思われます。
では、どのタイミングで歯磨きをするのがベストなのでしょうか?
食事の後2分で急激にお口の中のpHは下がり酸性に傾き始めます。その後20分かけてゆっくりと中性へと戻っていきます。これは、食事で少なくなった唾液が、徐々に口の中に戻ってくる時間です。唾液の量が多いほど、虫歯にはなりにくいということもいえます。
ですから
- 歯磨きの適正な時間は、食事の後20分以内。
- 唾液の量が少ないと虫歯になりやすい。
- 歯磨きの回数は食事の回数+寝る前。(就寝中は唾液が少なくなる。)
次のページでは、具体的に「正しいブラッシング」をお伝えします。