人間に発症するアレルギーには、I〜IV型と4つのタイプがあります。そのうち金属アレルギーはIV型の細胞性免疫反応といわれるものがほとんどです。金属アレルギーの疑いをもって来院される患者さんの中には、実は金属アレルギーではないものが多くあります。そのため、まずは各種の診査を行います。
本当に金属アレルギーなのかをチェック
- 他のアレルギー(香料、食料、化粧品)
- 他の歯科材料(ホルマリン、レジン、ユージノール)
- 機械的刺激(義歯性口内炎、修復物の鋭縁)
- その他の慢性疾患(多くの金属アレルギーは慢性疾患が原因の場合が多いです)
もし、金属アレルギーの傾向が見られる場合、
身につけている金属を調べます。
- 装飾品(時計、眼鏡等)
- アクセサリー(ピアス、ネックレス等)
- 皮革製品(ベルト、ネックレス、バックル等)
- 趣味、嗜好品
- 歯科治療
その中で、歯科金属・歯科材料が原因のアレルギーと判明された場合は、皮膚科との連携のもと治療計画を立てます。皮膚科でも原因アレルギーが判明出来なかった時にのみ、当院でパッチテスト(写真)や内皮テストを行い、金属やアレルギーの特定を行って行きます。金属の特定が決まれば、その金属を除去し、セラミックや該当金属以外の金属で修復していくことになります。
内皮テスト
パッチテスト
[症例1]
皮膚科にて、歯科金属が原因の金属アレルギー〔掌蹠膿疱症〕と診断されて来院。金属を外し、CR(コンポジットレジン)にて置き換え治療。手足のアレルギーは完全には完治してはいませんが、かなり腫れと爛れ(ただれ)は減少しています。
この掌蹠膿疱症は、歯科金属以外にも慢性疾患(歯科でいえば歯周病や慢性歯根膜炎)でも多く発症する場合があります。
原因金属を完全に除去、交換を行ってもすぐにはアレルギーは消失しません。2〜6ヶ月の経過観察が必要です。金属を口腔内で除去する際に、金属の微細な屑が飛沫し、皮膚症状が悪化する場合があります。(フレアアップ)
このように金属アレルギーの治療は治癒を判断するにはかなり長い期間が必要で、「交換すればすぐによくなる」ということは少ないのです。じっくり腰を据えて治癒に取り組む必要があります。(参考文献:GPのための金属アレルギー臨床 デンタルダイヤモンド社)